法的思考力
宅建試験は法律の試験であり、法律の問題を解くには、法律の枠組みの中で思考を展開する必要があります。
試験においての判断基準が法律そのもの、という考え方をするときに大切なのが「リーガルマインド」と呼ばれる「法的思考力」です。
法的思考力とは、なにも特別なことではなく、法律が規定しようとしている内容が理解できればよいわけで、法律が想定している世界と同じ世界の判断基準で判断できればよいことです。
宅建試験が対象にしている法律の中心は民法です。
民法はさまざまな法律の根幹をなす法律であり、1044条もの条文からなる大法典ですが、民事を扱っているもので、私たちの日常に大変なじみのあるものといえるでしょう。
したがって、法律の学習がはじめての人には、法的思考力を養成するための一番よい入り口であるといえるでしょう。
民法では第一編総則で、この法律が対象とする世界を決めています。
個々人の考える世界は皆同じものではないため、考える人の数だけ世界が存在することになります。
これでは、1つのことを議論するのに具合の悪いことが起こります。
そこで、民法では総則の中で、たとえば「人」といった場合には、すべての人間を指しますというように誰もが同じ立場、同じ世界で物事が考えられるようにいろんなことについての枠組みが規定されています。
民法を理解するためには、この枠組みの理解が必要ですが、少々厄介なことに民法が規定している枠組みは、多少私たちとは異なった判断基準があります。
例えば、民法の中ではよく「善意」と「悪意」という言葉が使われますが、
法文上では、「問題となっている事実をしらないこと」が善意の意味であり、「当事者が問題となっている事実をしっていること」が悪意の意味になります。
私たちが日常的に使う言葉の意味とは多少異なっていると思います。
このような法律的な枠組みの中で、物事が判断できる力のことを法的思考力といいます。
民法は社会生活に関する一般原則を定めたもので、私的所有権絶対の原則、契約自由の原則、過失責任の原則という個人主義原理に則っています。
言葉は難しいですが、言っていることは、極めて当たり前のことなのです。
私的所有権絶対の原則というのは、個人の所有する物は、その個人が自由にできるというもので、契約自由の原則は、当人同士の意思が合致すれば自由に契約を結ぶことができるというもの、過失責任の原則については、他人の意思による行為に過失がある場合だけ、責任を負えばよいというものです。
このように、民法で規定されていることは、私たちに無理なく理解できる内容になっていて、私たちの常識の範囲での判断と大きく異なることはないのです。
したがって、民法の問題で判断に迷うような出題があれば、常識的に判断するとどうか考えることが大事で、法律の基本的な立場、考え方を理解することで条文の理解などが簡単になる場合があるでしょう。